- 介護リーダーの仕事ってなに?
- 介護リーダーって大変そう…
- 介護リーダーになるためにはどうすればいいの?
介護職員として現場で業務して、リーダーにならないかと話を受けて、評価されての昇進!
でも、介護リーダーって何をすればいいの?私にできるの?と最初は誰もが思います。
前任者のリーダーから引き継ぎも受けるでしょうが、リーダーの業務内容や考え方など習得することがたくさんあり、不安になり悩むこともあります。
リーダーの仕事内容を知り、リーダーに求められる能力・技術を身につけていけば徐々に不安も減ってきます。
この記事では、リーダーに求められる能力と技術を説明します。
- 特養で介護副主任を2年、介護主任を3年の経験あり
- 新入職員の育成プログラムの作成と実践を行う
- 介護福祉士実習指導者資格を持ち指導経験あり
リーダーに求められる能力と技術
- 広い視野と狭い視野
- 見抜く力
- 聴く力
- 伝える力
- 決断する力
介護リーダーは、事業所によってチーフ・主任・リーダーなどの役職名になります。
業務内容は事業所によって異なるものがあるでしょうが、介護リーダーは介護現場の要であることには違いありません。
介護リーダーの現場をまとめる業務内容については、こちらの記事をご覧ください。
介護リーダーに求められる能力と技術
リーダーには業務全般を管理・把握する役割があります。また全ての介護職員についても個性や特徴を把握することが必要となります。
大袈裟に考えず、一人一人の得意なことや苦手なこと、できているところやもう少し頑張ってほしいところを知ることを心がけましょう。
それらを知っていると、役割分担する時や業務を組み立てる時に適材適所の割り振りができます。
広い視野と狭い視野
介護リーダーは業務全般を広い視野で把握する力と、時間や項目ごとの狭い視野で把握する力が必要です。
介護施設での1日の業務で考えてみると
時間 | 業務 | 内容 |
---|---|---|
6:00 | 排泄介助 | おむつ交換やトイレ介助 |
7:00 | 起床介助 | 洗面介助や食事への案内と離床介助 |
8:00 | 食事介助 | 食事の準備・配膳・摂取の介助・片付け |
9:00 | 口腔清潔 | 食後の口腔清潔介助・居室への案内と着床介助 |
10:00 | リハビリ ティータイム 入浴介助 | 体操・運動などの活動やリハビリテーション お茶、コーヒーなどの準備・摂取の介助 浴室の準備・着脱や洗身などの介助 |
11:00 | 移動介助 | 食事への案内と離床介助 |
12:00 | 食事介助 | 食事の準備・配線・摂取の介助・片付け |
午前だけでも時間ごとにいろいろな業務があります。
朝の離床介助を時間をかけて丁寧に行えば、質の高い介助を行ったことになりますが、その後の朝食時間が遅れてしまい、さらにその後の口腔ケアや入浴介助の開始時間が遅れることがあります。
昼食に間に合わせようとすると、口腔ケアや入浴をいつもより短時間で行うことになり、利用者はゆっくりと歯磨きができず、ゆっくりとお風呂に浸かれないということにもなります。また、スタッフにも焦りが出て慌ててしまい事故につながる心配もあります。
ひとつひとつの業務を丁寧に行うことはもちろんですが、丁寧すぎると次の業務が間に合わなくなり、全ての時間がずれてしまいます。
朝の離床介助を時間通りに行えば、生活リズムを守った介助を行なったことになりますが、間に合わせるために一方的な介助になり、利用者のタイミングに合わせられない介助になることがあります。
もう少しゆっくりしたい、時間がかかっても自分で着替えたいなど、利用者の意向や自立支援に基づく介助が行えず、利用者に不満を与えてしまいます。また、利用者の気持ちに寄り添いたいスタッフのモチベーションを下げてしまう心配もあります。
時間に合わせながら業務を進めることはもちろんですが、間に合わせることを優先してしまうと丁寧さがなくなり、質が低下してしまいます。
リーダーが現場の状況をみる時には、「広い視野」で全体の業務の流れを把握し、「狭い視野」で各業務の内容に目を向け、バランスをとることを心がけましょう。
見抜く力
スタッフにもいろいろな人がいて、性格・特徴・考え方や人生観などそれぞれ違い、それは仕事のやり方に影響を与えます。
その違いを知っている方が、リーダーとしては仕事がやりやすくなります。
俗にいう「人をみる目」を持つことです。
業務分担やシフトの組み合わせ、利用者担当や委員会の割り振りなど、適材適所の配置を考えたい場合には知っておくと役立つ情報です。
また、どのスタッフが口が軽いか重いかをリーダーは把握しておく方がいいです。
リーダーは立場上、いろいろな情報を知り得ることになります。
- 異動や採用、退職などの人事に関すること
- 事業所の体制の変更に関すること
- 経営に関する事項の変更(給与規定や職務規定など)に関すること
人事異動などはシフトを組む場合には早めに知っておきたい情報です。公表があってからではシフトを組み直すことになります。
なので、事前に人事に関する情報も知り得ることになりますが、ついうっかり匂わせてしまうことを口が軽いスタッフに話してしまえば、瞬く間に噂話として広がってしまいます。
もし、誰かに相談したいのであれば口が重くて信頼できるスタッフを選びましょう。
聴く力
スタッフの話を聴くことは、その人の思いや思考を知る手段であり「見抜く」ためにも必要な力です。
利用者の傾聴と同じく、聴区ことが信頼関係を築く一歩となります。
ついつい言葉を発したくなる気持ちは抑えて、まずは聴き手に徹しましょう。
相槌をうつ
話を聴くといっても、黙って聴いていては威圧感を与えてしまいます。
「うん」や「はい」といった言葉と共に、大きくうなづく動作をすると、気持ちもこちらに向けて聴いてくれていると感じてくれます。
共感する
話を聴いていて、自分になりに思うこともあるでしょうがグッと抑えて、まずは相手の発言を優先しましょう。
話の内容が一区切りついた時に、「あなたはそう感じたのですね」と共感を言葉にすると、思いや考えを受け止めてくれていると感じてくれます。
話を聴く位置を考える
座る位置は、話し手と聴き手の両方の心理に大きな影響を与えます。
①正面に対する位置
真正面に座ると互いに圧迫感を感じます。特に込み入った話や長時間になる場合は避けたほうがよいでしょう。
②相手より少しずらした位置
机の幅が狭く、両者の距離が比較的短ければ話しやすい位置です。しかし、距離が長いとよそよそしく感じます。
③角の位置
相手に近い割には、心理的な圧迫感が少ない位置です。親近感も高まりやすいので、話し合いなどに活用するとよいでしょう。
このように、お互いの位置により話しやすさと聴きやすさが変わってくるので、話の内容によって座る位置を考えましょう。
伝える力
リーダーは指示・命令はもちろん、業務連絡や情報共有などあらゆることを伝える立場になります。
その時に、自分の言いたいことを言いたいように喋ってはいけません。
主体は聴き手である周りのスタッフです。
意図を理解してもらう
指示・命令であれば、なぜそれを行うのかという意図を理解してもらうことが重要です。
意図を理解してもらえれば、同じような状況になった場合に自分がどう行動すればよいか決断しやすくなります。
明確な意図を持ち合わせた行動が、経験値として活かされることになり、人材育成にもつながります。
伝え方を工夫する
また、伝え方にも工夫が必要です。
現場のスタッフにとっては、目の前にいる利用者が優先すべき対象となることが多いです。
例えば、経営者からの「黒字化のため利用実績を上げるように」という指示・命令をそのまま現場スタッフに伝えれば、「上はお金のことしか考えてない」「利用者の介護のことに関心がない」とズレを感じてしまいます。
ここでリーダーがすべき伝え方は、「この事業所を利用したいと言ってくれる利用者を積極的に受け入れたいと考えているので、力を貸してください」と、現場スタッフが「嬉しいね、頑張っていこう」と思ってもらえるように、動機をつくる伝え方です。
人を動かすためには、人の心を動かす。
そのためには、言葉の選び方や言い方などに工夫が必要となります。
決断する力
決める
これはリーダーに求められる一番大きな役割といえます。そして、これができる能力を身につけなければいけません。
小さなことから大きなことまで、リーダーは決断しなければいけません。
しかし、リーダーも人です。「どうすればいいかなんてわからない…」と思って当然です。答えを知っているわけでもなく、確固たる自信があるわけでもありません。
しかし、決断しなければ前に進まないことを一番理解しているのもまたリーダーです。
自分の決断に周りのスタッフが反対することもあります。うまくいかず落ち込むこともあります。
経験しないとわからないことがあります。まずは、最善の方法を考えるよりも、最悪を避ける方法を考えましょう。
一つ一つの経験が次の決断に生かされるはずです。
重責ではありますが、決断することはリーダーの重要な役割です。
以下の書籍が介護リーダーの仕事についてわかりやすく解説してあります。漫画になっているのでとても読みやすく分かりやすく、おすすめの書籍です。
実際の介護現場の出来事を表したこちらの書籍もおすすめです。
まとめ
介護リーダーに求められる能力と技術は以下の通りです。
- 広い視野と狭い視野
- 「広い視野」で全体の業務の流れを把握し、「狭い視野」で各業務の内容に目を向ける
- 見抜く力
- 人を見る目を持ち、人となりの情報を得る
- 聴く力
- 相槌をうつ
- 共感する
- 話を聴く位置を考える
- 伝える力
- 意図を理解してもらう
- 伝え方を工夫する
- 決断する力
- 最善の方法を考えるよりも、最悪を避ける方法を考える
苦労も多い介護リーダーですが、その経験は大きな力になることは間違いありませんし、自分の価値を高めることにも繋がります。
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