- ショートステイ利用者にケアプランは必要?
- 居宅ケアマネージャーから受け取ったケアプランはどうするの?
- 長期利用者と同じ手順でケアプランを作るの?
ショートステイ担当の生活相談員や施設ケアマネージャーによくある悩みですが、作成の方法を知ればショートステイ利用者の施設ケアプランが作れるようになります。
この記事では、居宅ケアマネージャーから受け取ったケアプランを施設ケアプランに変える作り方を説明します。
- 生活相談員として居宅ケアマネと関わる
- 利用時の契約、面接、ケアプラン作成に関わる
- 施設ケアマネージャーとしての経験あり
居宅ケアプランから施設ケアプランを作るポイント
- サービス種別で「ショートステイ、短期入所生活介護」に該当する内容は書く
- 居宅サービス計画書の「課題、ニーズ」と「長期目標」と「短期目標」はそのまま書く
- 「サービス内容」は施設で行うケアの手順・留意事項を書く
本当であれば、施設ケアプランは「包括的自立支援プログラム」の作成手順に従って作りますが、この記事では作成のルールに従わない書き方を説明します。
なぜかというと、運営指導で「居宅サービス計画」と「施設サービス計画」の整合性を問われるので、「居宅サービス計画書」の文章を使用します。
包括的自立支援プログラムの作成手順や特長については、こちらの記事をご覧ください。
「居宅サービス計画書」をもとにした「施設サービス計画書」の書き方のポイントについて説明していきます。
サービス種別でショートステイが該当する課題・ニーズを挙げる
居宅サービス計画書には通所介護や訪問介護、福祉用具貸与などのサービスを導入した課題・ニーズも立案されています。
- 「サービス種別」にショートステイ・短期入所生活介護の記入がある
- 「※2」に事業所名の記入がある
これに該当する課題・ニーズについては、施設サービス計画書に記入します。
課題・ニーズ、長期目標、短期目標はそのまま書く
施設サービス計画書にそのまま書く項目
- 生活先般の解決すべき課題、ニーズ
- 長期目標
- 短期目標
居宅サービス計画書と施設サービス計画書は整合させる必要があります。
そのためには上記の「生活全般の解決すべき課題、ニーズ」と「長期目標」と「短期目標」の3つの項目については、記述を合わせます。
生活全般の解決すべき課題・ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 | サービス種別 | ※2 |
---|---|---|---|---|---|
お風呂に入って気持ちよく過ごしたい。 | 清潔を保って気持ちよく暮らせる。 | 定期的に入浴できる。 | ・リフトを使ってお風呂に入っていただきます。 | 通所介護 短期入所生活介護 | デイサービスセンター〇〇 特別養護老人ホーム〇〇 |
家族の休息時間を作りたい。 | お互いが健康に過ごせる。 | 家族に代わって介護する。 | ・日常生活を介護させていただきます。 | 通所介護 短期入所生活介護 | デイサービスセンター〇〇 特別養護老人ホーム〇〇 |
上記の居宅サービス計画書の内容を施設サービス計画書へ記入すると
生活全般の解決すべき課題・ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
お風呂に入って気持ちよく過ごしたい。 | 清潔を保って気持ちよく過ごせる。 | 定期的に入浴できる。 | ・入浴前にバイタルサインを測定する。 ・リフトを使用し入浴介助する。 |
本人と家族の休息時間を作りたい。 | 健康に過ごせる。 | 日常生活を介助する。 | ・自分でできることは見守りしてもらう。 ・自分でできない部分を介助する。 |
このように記入することができます。
施設サービス計画書はショートステイ中の利用者への計画書と考えるため、基本は利用者本人への支援について記入することになります。
家族支援についての表現は少し視点を変えて記入した方がよいと考えます。
ショート利用者の施設ケアプランは必要
基本的には必要ですが、厚生労働省はこのような通知を出しています。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について
(4)指定短期入所生活介護の取り扱い方
①基準第一二八条第二項で定める「相当期間以上」とは概ね四日以上連続して利用する場合を指すこととするが、四日未満のものであっても、利用者を担当する居宅介護支援事業所と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4369&dataType=1&pageNo=1
また、都道府県からもこのような手引きが出ています。
短期入所生活介護計画の作成について
相当期間(おおむね4日)以上にわたり継続して入所する利用者については、短期入所生活介護計画を作成すること。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/documents/07tannkinyuusyo-tebiki.pdf
なので月のうち4日以上の利用がある利用者については介護計画を作成する必要があると捉えます。
居宅介護支援事業所のケアマネージャーから施設サービス計画書の提出を求められる場合もあるので、基本的には全員に作成するものと考えましょう。
居宅サービス計画書にないものはケアマネージャーに立案を依頼する
整合性を図るためにも、居宅サービス計画書にある内容を施設サービス計画書に記述します。
逆を言えば、居宅介護サービス計画書に記述のない課題やニーズについては、ケアマネージャーに報告して計画書に立案してもらうように働きかけることが必要になります。
施設利用中の様子については事業所のスタッフの方がよくわかっています。
なので、課題・ニーズの状況と事業所で行っているサービス内容、または行うことができるサービス内容を伝えることで、ケアマネージャーが新しいサービス計画書を作成してくれることになります。
以下の書籍が施設ケアプランの書き方についてわかりやすく解説してあります。具体的な記入例を交えているので、おすすめの書籍です。
まとめ
ショートステイ利用者の施設サービス計画書の書き方のポイントは以下の通りです。
- 居宅サービス計画書と施設サービス計画書は内容を合わせて整合性を図る
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)、長期目標、短期目標の記述内容を合わせる
- 月に4日以上の利用がある利用者には施設サービス計画書の作成が必要
- 施設サービス計画に立案を要する課題やニーズがあれば、ケアマネージャーに依頼する
居宅介護事業所のケアマネージャーにも施設サービス計画書を提出しなければいけないので、気になることがあれば確認し合うようにしましょう。
課題の内容や文章の書き方などを確認しあい、最終的には各事業所が利用者のために適切な行動ができるサービス計画書であることが大事なことです。
以下の記事では、包括的自立支援プログラムでの「施設サービス計画書(2)の作成」について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
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