- ケアチェック表とのつながりは?
- 課題、ニーズはどう書けばいいの?
- 長期目標と短期目標の違いは?
施設ケアプラン(施設サービス計画書)を作成する施設ケアマネや生活相談員、介護職員によくある悩みですが、作成のルールを知れば施設サービス計画書(2)が書けるようになります。
この記事では、施設サービス計画書(2)の書き方のルールを説明します。
- 包括的自立支援プログラム研修会の指導者経験あり
- 施設ケアマネージャーの経験あり
- 現在は生活相談員としてケアプラン全般に関わる
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)の書き方
- 長期目標と短期目標の位置付けと書き方
- サービス内容の書き方
書き方のポイントについて説明します。
施設サービス計画書(2)の書き方
【各項目の記入内容についてポイント】
生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 原因+状況+課題ありとした理由 を記入する ※ケアチェック表の具体的内容を転記する |
長期目標 | 目指す先の状態像を記入する |
短期目標 | 主なケア内容を記入する ※ケアチェック表の対応するケア項目を転記する |
サービス内容 | 主なケア内容の手順や留意事項を記入する |
ケアチェック表で記入した「具体的内容」と「対応するケア項目」を、そのまま施設サービス計画書(2)に転記することになります。ケアチェク表の作成についてはこちらをご覧ください。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
ここにはケアチェック表に記入した、「要介護者の健康上や生活上の問題点及び解決すべき課題等」の「具体的内容」をそのまま転記します。
基本となる文章の組み合わせ
「原因」+「状況」+「課題ありとした理由」
例えば、下肢筋力の低下で移乗動作にふらつきがあり、転倒の心配があることを挙げる場合
- 原因は「足の力が低下している」
- 状況は「移乗動作時に不安定になることがある」
- 課題ありとした理由(ニーズ)は「転倒の心配がある」
足の力が低下しているため、移乗動作時に不安定になることがあり、転倒する心配がある。
このような文章にすることができます。
基本となる文章構成が難しい場合は他の組み合わせで書きます。ニーズの書き方についてはこちらの記事を参考にしてください。
短期目標
ここにはケアチェック表で記入した「要介護者の健康上や生活上の問題点及び解決すべき課題等」の「対応するケア項目」をそのまま転記します。
短期目標は利用者本人の行動ではなく、スタッフが行うケア内容を記述します。
短期目標の書き方
「原因」もしくは「状況」に対する、支援者の主なケアの内容を書く
原因が「足の力が低下している」であるから、それに対するケアは、足の力をつけていくための運動を一緒に行うこととなります。そうすることで原因となる「足の力の低下」を防ぐことができます。
しかし、これには時間がかかります。「移乗動作時に不安定になることがある」状況にあるわけなので、それに対する対処方法も必要になります。なので、移乗時の動作に対する介助も同時に必要になります。
足の運動を一緒に行う。(原因に対して)
移乗時には動作を介助する。(状況に対して)
この事例では、原因に対するケアと、状況に対するケアの同時進行が必要になるので、短期目標が2つになります。
サービス内容
実際に行うサービス内容を記述します。
サービス内容の書き方
短期目標に挙げた主なケア内容の具体的な手順や留意事項について書く
主なケア内容を実践する手順などを順番に記述していくとよりわかりやすくなります。誰にでもわかるように具体的に記述しましょう。
【短期目標】足の運動を一緒に行う に対して
- 運動の時間にホールへ案内する。
- 足を上げ下げする運動を勧める。
【短期目標】移乗時にはコールの使用を勧める に対して
- 移乗時にはコールの使用を勧める。
- 移乗動作を支えて介助する。
などを挙げることができます。
普段行っている介助方法を一つ一つ具体的な文章にしていくと良いでしょう。より細かな手順を記述することもできれば、誰が対応しても一定の介助方法の統一はできることになります。
長期目標
長期目標は「目指す先の状態像」となります。
長期目標の書き方
課題ありとした理由に対して適った状態像を書く
「転倒する心配がある」という課題を解決するため短期目標のケアを行うと、足の力を保ち、転倒を防ぐことができます。
足の力を保ち、移乗時の転倒を防ぐ。
このような文章にすることができます。
担当者
短期目標のケア、またはサービス内容のケアを実践する者ではありません。
担当者の書き方
短期目標のケア、またはサービス内容のケアを適確に把握・評価できる職種・担当者名を書く
ケア内容を適確に把握して評価できる職種・担当者を書きます。もちろん、それが実践者と同様の場合が多いですが、モニタリング(実施状況を把握して評価すること)ができる職種・担当者を記入します。
機能訓練指導員・理学療法士・介護職員・看護職員
などを挙げることができます。
頻度
短期目標のケア、またはサービス内容のケアをいつ行うのか頻度を書きます。
頻度の書き方
時間、曜日、タイミングなどを具体的に書く
このケアは8時・12時・18時の毎食時事に行う、このケアは火曜日、金曜日の午後の入浴時に行うなど、誰にでもわかるように記入します。1日3回、週2回ではいつ行うのかが不明確になります。
もちろん、時間や曜日などを特定できないケア内容もあるので、その時は「随時」などと記入します。
毎食事時(8時・12時・18時)・入浴時(火・金曜日の午後)・移動時・随時
期間
包括的自立支援プログラムでの期間は「短期目標」で挙げたケア項目をいつまで行うかの期間になります。
期間の書き方
いつからいつまで、具体的な日にちを書く
3ヶ月、6ヶ月などの表示では見直しの時期も不明確になるため、明確な日にちを記入する。
令和◯年◯月◯日〜令和◯年◯月◯日
施設サービス計画書(2)の整合性を確認する方法
以上の内容を計画表に表すとこのようになります。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
原因+状況+課題ありとした理由 | 目指す先の状態像 | 主なケア内容(支援者の行動) | 主なケア内容の手順や留意事項 |
足の力が低下しているため、 移乗動作時に不安定になることがあり、 転倒する心配がある。 | 足の力を保ち、移乗時の転倒を防ぐ。 | 足の運動を一緒に行う。 移乗時には動作を介助する。 | *運動の時間にホールへ案内する。 *足を上げ下げする運動を勧める。 *移乗時にはコールの使用を勧める。 *移乗動作を支えて介助する。 |
課題(ニーズ)・長期目標・短期目標の整合性を確認する方法
(生活全般の解決すべき課題)があるため
(短期目標)をすることで
(長期目標)ことができる
この構成にあてはめて、文章として成り立つかどうかで整合性を確認することができます。
足の力が低下しているため、移乗動作時に不安定になることがあり、転倒する心配があるため、
足の運動を一緒に行い、移乗時には動作を介助することで、
足の力を保ち、移乗時の転倒を防ぐことができる。
もし違和感を感じる部分があれば、その内容や文章を見直して修正しましょう。
以下の書籍が施設ケアプランの書き方についてわかりやすく解説してあります。具体的な記入例を交えているので、おすすめの書籍です。
まとめ
施設サービス計画書(2)の書き方のポイントは
- 利用者の行動ではなく、スタッフが何をするのかスタッフの行動を表す。
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)は、「原因」+「状況」+「課題ありとした理由」で表す。
- 短期目標は、「原因」もしくは「状況」対する主なケア内容(支援者の行動)を記述する。
- サービス内容は、短期目標に挙げた主なケア内容の具体的な手順や留意事項を記述する。
- 長期目標は、「課題ありとした理由」に対して、適った状態像を記述する。
- 「解決すべき課題」と「短期目標」と「長期目標」で文章を作り、整合性を確認する。
以上が施設サービス計画書(2)の作成のポイントです。
施設サービス計画書(2)を作成するためには、ケアチェック表で課題やニーズを整理するアセスメントが必要になります。
以下の記事では、包括的自立支援プログラムでのアセスメントとなる「ケアチェック表の作成」について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
以下の記事では、包括的自立支援プログラムでのニーズの書き方について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
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