【施設ケアプランの作り方】包括的自立支援プログラムの施設サービス計画書(1)の作成

ケアプラン

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  • 生活歴や経緯、今の現状は書かなくてもいいの?
  • 利用者と家族の意向はどう書けばいいの?
  • 総合的な援助方針のまとめ方がわからない

施設ケアプラン(施設サービス計画書)を作成する施設ケアマネージャーや生活相談員、介護職員によくある悩みですが、作成のルールを知れば課題・ニーズを整理して書けるようになります。

この記事では、施設サービス計画書(1)の書き方のルールを説明します。

koba
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  • 包括的自立支援プログラム研修会の指導者経験あり
  • 施設ケアマネージャーの経験あり
  • 現在は生活相談員としてケアプラン全般に関わる
  • 利用者及び家族の生活に対する意向の書き方
  • 介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定の書き方
  • 総合的な援助方針の書き方

以上の書き方のポイントについて説明します。

施設サービス計画書(1)の書き方

施設サービス計画書は居宅サービス計画書と同じ書式です。

【各項目の記入内容についてのポイント】

利用者及び家族の生活に対する意向①サービス計画依頼の経緯と具体的な状況(状態)を記入する
②利用者の健康上や生活上の解決すべき課題について記入する
③利用者及び家族の希望の有無とその内容を記入する
④「新規」「定期の見直し」「緊急の見直し」のいずれの計画であるかを記入する
介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定介護保険被保険者証の「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」欄に示された内容をそのまま転記する
なお、記述がない場合は「記載事項なし」と記入する
総合的な援助の方針施設サービス計画書(2)と整合性が保たれる内容を、具体的に記入する

総合的な援助の方針には、施設サービス計画書(2)と整合した内容を記入することになります。施設サービス計画書(2)の書き方についてはこちらをご覧ください。

【施設ケアプランの作り方】包括的自立支援プログラムの施設サービス計画書(2)の作成
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利用者及び家族の生活に対する意向

この項目には以下の4つの内容を記述するようにします。

  1. サービス計画を作成する経緯と具体的な状況(状態)
  2. 利用者の健康上や生活上の解決すべき課題
  3. 利用者及び家族の希望の有無とその内容
  4. 「新規」「定期の見直し」「緊急の見直し」のいずれか

サービス計画を作成する経緯と具体的な状況(状態)

【初回新規)の場合】

どのような生活から介護を要する状態となったか、入所することになった経緯と状況(状態)

○年から一人暮らしを送っていた。○年に自宅で倒れているところを発見され、脳梗塞の診断で入院治療を受けた。左半身に麻痺が残り自宅での生活が困難になったことから、○年に老人保健施設に入所した。日常生活動作にも介助を要し、移動も車椅子が必要な状態であり、在宅生活は難しいことから施設入所の意向を聞く。○年○月○日に当施設に長期入所となる。

要介護となった要因・病気によるもの
・加齢によるもの
在宅生活が困難な要因・介護者がいない
・介護者が高齢である
・介護者が就業していて時間がない
・介護者には他に要介護者がいる
・介護の負担が大きい
・在宅環境が介護に適さない
現在利用しているサービス・老人保健施設に入所
・病院に入院
・通所介護や訪問介護を利用
・短期入所を利用

以上の内容を記入することが、初回(新規)の場合の記述のポイントです。

【見直し(更新)の場合】

前回の計画作成時からのケアの実施状況と、それによっての状況(状態)

前回の計画作成時には、左半身の麻痺があることから立位を保持することも難しく、1人で立位保持ができることを目標に1日3回の立ち上がりの訓練を行った。体調がすぐれないときは休む場合もあったが、ほぼ毎日続けられ、6ヶ月が経過した現在は介助バーを持ち立位の保持ができる状態となった。また、排泄の介助方法はおむつ交換を行っているが、「トイレにいきたい」と言われることが時折ある。

前回に立案した計画の実施状況・立案したケアを行い、効果が得られた
・立案したケアを行ったが、効果が得られなかった
・立案したケアが行えず、効果も得られなかった
状況(状態)の変化・効果が得られ、ADLとQOLが向上した
・効果が得られず、ADLとQOLが低下した
原因分析・立案したケアを行ったが、効果が得られなかったのはなぜか?
・立案したケアが行えなかったのはなぜか?
・効果が得られず、ADLとQOLが低下したのはなぜか?

以上の内容を記入することが、見直し(更新)の場合の記述のポイントです。

利用者の健康上や生活上の解決すべき課題

今の状況(状態)での課題(ニーズ)と、それに対しての方向性

立位の保持ができるようになったが、まだ不安定な時もあるため、引き続き立位の訓練を継続する必要がある。それに伴い、1人で立ち上がりの動作をする心配もあるため、転倒を防ぐように、動作が行いやすい環境について検討を要する。

当初、課題としていた内容は解決に近づいているが、状態の変化に伴い新しい課題(ニーズ)が出てきており、それをどのようにしていくかという方向性も記述することがポイントになります。

利用者及び家族の希望の有無とその内容

利用者からの希望の有無とその内容、家族からの希望の有無とその内容

本人からは、排泄について「トイレに行きたい」と希望をきく。家族からは、「自分で立つことができればできることも増えると思うので、立てるようになれば嬉しい」と思いをきく。

利用者、家族からきいた希望はそのままを「」で記述します。

もし、意思の疎通が図れずに希望をきくことができない場合、家族からも具体的な希望がない場合は、そのことを表した文章を記述します。

本人からは、意思の疎通が困難なことから希望はうかがえず、家族からも具体的な希望はうかがっていない。

利用者、家族から具体的な希望がない場合でも、ないことを記述することがポイントです。

「新規」「定期の見直し」「緊急の見直し」のいずれか

今回の計画作成は「新規」「定期の見直し」「緊急の見直し」のいずれか

新規施設入所する際に作成する初回の計画の場合
定期の見直し認定期間、または施設で定めた期間(6ヶ月など)が終了する場合
緊急の見直し要介護度の変更申請を行った場合
入院などで状態に変化があり退院する場合
病気や事故で日常生活に著しく変化がある場合
  • 施設入所するにあたり、事前情報に基づいて初回の施設サービス計画を立案する。
  • 前回の計画立案時から6ヶ月が経過するにあたり、日常生活全般において施設サービス計画の定期の見直しを行う。
  • 脳梗塞で入院し、左半身麻痺となり日常生活行為全般に介護を要する状態となったため、緊急の見直しを行う。

以上の3つのパターンが考えられます。

介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定

介護保険被保険者証の「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」欄に記入があれば、ここに記述します。

長期間にわたり要介護状態区分に変化がないと考えられるため、認定有効期間を24ヶ月とする。

記入がない場合は以下のように記述します。

記載事項なし。

この項目は保険者によって記入内容も違いますが、最近では記入がないことが多くあります。

総合的な援助の方針

施設サービス計画書(2)と整合する具体的な内容

本人よりトイレで排泄したい希望をきき、トイレに座ってもらう排泄介助を行うことで、トイレでの排泄を図りたい。

施設サービス計画書(2)に記述した内容をまとめたものを、総合的な援助方針として記述します。なのでこの項目は、施設サービス計画書(2)を作成した後に記述します。

施設サービス計画書(2)の作成について、整合性を確認する方法については、こちらをご覧ください。

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それぞれの課題・ニーズごとに文章を記述しますが、今後の方針となるものなので、語尾を「〜する」ではなく「〜したい」という未来表現で表します。

以下の書籍が施設ケアプランの書き方についてわかりやすく解説してあります。具体的な記入例を交えているので、おすすめの書籍です。

まとめ

施設サービス計画書(1)の書き方のポイント

利用者及び家族の生活に対する意向

  • サービス計画依頼の経緯と具体的な状況(状態)を記入する
  • 利用者の健康上や生活上の解決すべき課題について記入する
  • 利用者及び家族の希望の有無とその内容を記入する
  • 「新規」「定期の見直し」「緊急の見直し」のいずれの計画であるかを記入する

介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定

  • 介護保険被保険者証の「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」欄に示された内容をそのまま転記する
  • 記述がない場合は「記載事項なし」と記入する

総合的な援助の方針

  • 施設サービス計画書(2)と整合性が保たれる内容を、具体的に記入する

以上が施設サービス計画書(1)の作成のポイントです。

以下の記事では、包括的自立支援プログラムでのアセスメントとなる「ケアチェック表の作成」について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

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